時評
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POWER SHIFT
アルビン・トフラー著
フジテレビ出版
90/11/20
パワーシフト
知識型経済
富創出システム
その他
パワーシフト
「パワーシフト」は「未来の衝撃」「第三の波」に続く物で、三部作の完結編である。
「未来の衝撃」では、人間が激しい変化に襲われたとき、どういう状態になるか。どうすれば未来の変化に適応できるか。について「ソフト」な人間的側面から捉えている。
「第三の波」では、「第一の波」を農業の時代とし、「第二の波」を重厚長大型産業の時代と規定し、「第三の波」をいわば軽薄短小型産業の時代ととらえている。
「パワーシフト」は、21世紀へ向かうにあたって、暴力・富・知識という三つの力がわれわれの日常生活でどのような役割を演じるかについて分析している。つまり、ビジネスにおいて、議会において、政府において、はたまた国際政治・経済において権力(パワー)がどのように移りつつあるかについて焦点をあわせている。また、「パワーシフト」は何も大規模な国際状況の中にだけで起きているわけではない。我々のごく身近な日常でも、例えば医師と患者でも、いまや医師は医学知識をしこたま仕入れた患者にてこずっており、父親と子供、夫と妻の間でも、その力関係はその知識集積度によって代わってきている。
産業革命が暴力を法律に変質させ、近代工業国家は軍隊と警察を手にすることによって暴力を正当化したとしているが、その上で、カネ(富)がより重要な役割を演ずるようになったのだが、カネに比重のあったこれまでと違って、いまや知識がその重要度を増し、世の中は所得や資産の不平等を解決しないままに、知識の配分により多くあずかろうとする争いに移っていった。いまや、知識を誰がどれだけおさえるかということが権力をおさえる最重要課題になりつつある。
例えば、ビジネスでスーパ・マーケットとメーカーの力関係を見ると、かつてはふんぞり返っていたメーカーが、商品や顧客の情報をより多く持つことによって、その力関係は、メーカーからスーパーへと逆転している。
煙突型産業時代には強力であった巨大企業も、今では必ずしもそうでなく、巨大企業でさえ次々とプロフィット・センターという小単位をその会社内に持ち、階層的タテ型の命令系統も多様化し、多量化した情報の波を整理しきれずに、ネットワーキング型組織に走り、やがてはモザイク型の組織へと変わっていく。
そうなると、煙突型産業時代には効率的であった官僚組織も知識の集散には不適当になり、中間管理層もコンピュータなどの機器の出現のため無用の長物化してしまう。
つまり、21世紀にかけて、情報(知識)の有用性が増せば増すほど、われわれの日常生活も組織も政治も社会も大きく変貌をとげ、知識をおさえ頭脳を使う物ほど力を手にすることが出来るということになる。
知識型経済
どのパワーシフトを取ってみても、シフト発生の主要な原因となっているのは、この知識の役割の変化ー新しい富創出システムの幕開けーである。この新しい知識型経済の広がりは爆発的な新しい力を持っており、先進経済諸国の間に世界的な激しい競争を巻き起こし、社会主義諸国を救いようの無い時代遅れの存在にしてしまい、多くの発展途上国は伝統的な経済戦略を捨てざるを得なくなった。
富創出システム
この新しい富創出システムはデータ・情報・知識の交換への依存度をますます高め、それはますます、「超象徴的」(スーパー・シンボリック)になっていった。知識の交換が無ければ富は創出されないのだ。
新しい富創出システムは大量生産を超え、柔軟な特別注文的になり、しかも、大量生産なみの安いコストで製造可能になる。
硬貨や紙幣に代わり、電子情報が真の交換手段となり、資本の流動性が極めて高くなり、財とサービスはモジュール化され、システムが形成されるようになった。
そして、動きののろい官僚制度に変わって小規模作業ユニットやタスク・フォースなどが前面に出て、自由に流れる情報が官僚制度に取って代わる。
その他
先進諸国のエレクトロニクス基盤は、6つの特徴を有したものになるであろう。そのうちいくつかは既に前兆があるが、この未来への6つの鍵とは、対話性、移動性、変換性、連結性、偏在性及び世界化である。
この6つの原則が合わされば、メッセージを送る方法だけでなく、思考方法、世界における自らの立場についての見方、したがって個人と政府の関係は完全に変化する。この6つの原則が合わされば、政府あるいは野党が、かつてのように思想、イメージ、データ、情報つまりは知識を管理することは不可能になるであろう。
対話性ーー対話式テレビ等
移動性ーー携帯電話等
変換性ーー自動翻訳等
連結性ーー何にでもつながる
偏在性ーー世界中、あらゆる層に浸透(金持ちも貧乏人も)
世界化ーー世界的な規模
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国有事業が従業員を冷遇し、大気を汚染させ、私企業以上に公衆を愚弄することは、実例に照らして論争の余地は無い。国有事業の多くは、非能率、腐敗、貧欲のごみためと成り果てている。。事業運営の欠陥のせいで、しばしば巨大な闇市が人を多く集めて繁栄し、国の制度を破壊する。
しかし、なかでも最悪で、最も皮肉なのは、技術的開発の分野で先端を行くという約束にもかかわらず、国有事業がほとんど例外もなく一様に反動的になっていることだ。最も官僚的で、組織や機能の再編に最も緩慢で、消費者のニーズの変化への適応に最も気乗りせず、市民への情報提供を最も恐れ、最も遅れて先進技術を取り入れる。
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ECの計画は、古くさい考えに強くとらわれた経済尺度を前提にしている。情報とサービス活動を中心に作り上げる先進経済を対象とせずに、煙突型産業的な製造経済にそのまま計画を適用というのである。さらに、新しい富創出システムは異質な物の上で繁栄しーそしてそこから生まれるー生産の注文化と局地化、市場の細分化、金融の非大量化を強調するのに対し、ECによる強圧的手段は、口先とは裏腹に、違いをならそうと意図している。
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さらに時が流れるにつれ、一国の科学的・技術的基盤について最も大事なことは、ある時点でどんな情報をそれらが内包しているかではなく、絶えずそれらが革新されていくスピードと、世界中から素早く知識を集め、専門化したノウハウを必要とする人たちに運び込む、優れたコミュニケーションであろう。
問題は蓄積されたものではなく、流れるものである。
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